ロープアクセスとは、作業者がロープで身体を支えながら行う作業の総称で、
直立する壁や30度以上の傾斜角度を持つ斜面で作業を行うときに用いられます。
様々な方法があり、どのように作業現場に到達し、帰還するかによって方法は変わってきます。
(図1)のようなダムでの作業などがあります。
作業者はあらかじめ構造物アンカーに連結したロープを使って下降し、
作業が終わると再びロープを伝って元の位置に戻ります。
(図2)のようなビルの窓ガラス清掃などがあります。
作業者はエレベーターや階段を使って上部に到着し、
そこから構造物アンカーを設置した後、ロープを使って下降します。
作業を終えると地面に下降して帰還します。
(図3)のようなショッピングモールの巨大ポスターを取り付ける作業などがあります。
作業者はまず伸縮可能なポールを使って梁などの構造物にロープを固定し、上方の作業現場にアクセスします。
作業を終えると地面に下降して帰還します。
ロープアクセスでは、EN 1891-A に準拠したセミスタティックロープを使用しなければなりません。
また、状況に応じて3本のロープを使用し、その役割は下記になります。
EN 12841-C 準拠したディッセンダー、もしくは EN 12841-B 準拠したアッセンダーがセットされなければなりません。
万が一の墜落に備えるため、EN 12841-A に準拠したフォールアレスターがセットされ、
ハーネスの胸部または背部にあるアタッチメントポイント EN 361 に接続されなけばなりません。
ロープアクセスではレスキューキットは使用されませんが、適切な長さのエマージェンシーロープを準備しなければなりません。
作業中はアンカーポイントに接続されており、迅速な救助を可能にします。
①ワークシェル ②アクセスQR ③スパロー200R ④コネクター ⑤ループアンカー ⑥エンドループ付ロープ ⑦イージームーブキット ⑧クイックロール ⑨フットループ ⑩フォーレスト ⑪アッセンダーキットプラス ⑫イプシロン
H1:スパロー200Rを使用して下降する場合
セルフブレーキディッセンダー:③スパロー200Rを使用しての下降方法は、右手は末端側のロープをにぎり、左手でレバーを引きます。
スパロー200Rは特殊ブレーキングシステム(EBS)を搭載しているので、誤ってレバーを引きすぎた場合でも、下降速度を制御する安全システムが作動します。
H2:スパロー200Rを使用してロープ上で停止して作業する場合
スパロー200Rのレバーを“STAND-BY”ポジションにすることでロープにはブレーキがかかった状態となり、
レバーは誤作動によりブレーキが解除されることはないので、ロープ状で停止した状態で作業することができます。
フォールアレスター⑦イージームーブキットのダイヤルを“REST”ポジションにセットし、
セーフティラインのなるべく高い位置に持っていくことによって、落下率をなるべく低く抑えます。
H3:スパロー200Rを使用して登高する場合
スパロー200Rでは、下降から登高に簡単に切り替えることが可能です。
作業者はワーキングライン上にスパロー200Rより上にハンドアッセンダーの⑧クイックロールをセットし、
クイックロールの下部にあるブラケットアタッチメントスロットに④Q-リンクで⑨フットループの連結と、
ロウアースロットには腹部のアタッチメントポイントに連結した⑫イプシロンのロングアームと繋ぎ合わせます。
次に、クイックロールに内蔵されたプーリーにスパロー200Rの末端側のロープを通します。
登高するためには、左手でクイックロールを引きながら右手で末端側のロープを引きます。
同時に脚はフットループを使って身体を押し上げます。
この動作を繰り返すことで、登高します。斜面ではフットループを使わずに登高することができます。
H4:クイックロールとアッセンダーキット プラスを使用して登高する場合
アッセンダーだけを使用しますので、⑧クイックロールと⑪アッセンダーキット プラスをセットします。
長距離の登高においてはH3よりも効率よく登高が可能です。