行動範囲が限られた狭い場所(下水道、穴、貯蔵タンク、サイロなど)での作業は、活動の制限を受けやすい環境が多く、
また空気の状態が良くない可能性も考えられ、非常に過酷な状況での作業を強いられます。
このような場所で作業する時、またはアクセスする時には以下のようなことが考えられます。
・ 限られた空間のため作業現場内の移動が困難
・ 作業現場外で安全を確保する補助者が必要
・ 目鼻口などを保護するPPEが必要になる可能性がある
行動範囲が限られた場所にアクセスする時には、
まずフォールアレストシステムやレスキューシステム用のウインチを連結するためのアンカーポイントを設置する必要があります。
アンカーポイントには、EN 795-B に準拠した③トリスまたは④アラキニポッドのアンカーデバイスを設置したり、
定期的なメンテナンスを必要とされたりする状況では、固定アンカーを常設することもあります。
I1:はしごを使用してアクセスする場合
作業者はフォールアレスターやリトラクタブルフォールアレスターを 、
EN 361 に準拠したコンプリートフルハーネスの胸部または背部アタッチメントポイントに連結することで、
はしごを使用して安全に登降ができます。
万が一、作業者が事故に遭ったり、気分が悪くなったりした場合、作業者の安全を確保する補助者は、
制限された行動範囲で迅速に要救助者を引き上げられるように待機しなければなりません。
EN 360 / EN 1496-B に準拠した器具を使用して行う作業については、I1で詳しく図解しています。
I2:ロープを使用してアクセスする場合
補助者が作業者を作業場所に吊り降ろしたり、作業後や緊急時には引き上げたりします。
この場合でも、フォールアレストシステムは作業者の安全を確保するために必要となります。
ウインチシステムはいずれの場合においても、作業状況に合わせて臨機応変に対応するために必ず手動で操作しなければなりません。
①ワークシェル ②パイルテック-2 ③トリス ④アラキニポッド ⑤セーリエ119 ⑥アクセスQR ⑦コネクター ⑧ブラケットA ⑨ブラケットB ⑩ファーストアンカー
図中では⑤セーリエ 119を使用して、ホールから負傷した作業者Aを救助する場面を示しています。
アクセスゾーンの頭上に③トリスまたは④アラキニポッドを設置し、セーリエ 119を接続しています。
セーリエ119は高低差のある場所で一時的に作業をする場所、特に行動範囲が限られた場所での使用に適しています。
セーリエ119には、下記の2つの機能が備わっています。
EN 360:作業者がホールで昇降するのに使用し、下降地点で作業を行うために停止しておくことができます。
EN 1496-B:ホールの外にいる補助者Bが EN 1496-B用のレバーを操作しながら作業者を昇降します。
引き上げや降ろす時には、最長15mまで可能です。